池上彰の現代史講義-中国天安門事件の頃

標題の件、しばらく前にBSのテレビ東京で放送され、録画したものを見ました。

ニュースを理解するための勉強法について

池上さんがニュースを理解するための勉強法について話していました。
ニュースを見てよく分からないところがあれば、徹底的にその国の現代史を読んで学習します。すると、ちょっとしたニュースがあったときに、それがどういう意味を持つのか、よくわかるとのことでした。

20世紀後半以降の中国の経済政策

中国は、かつてソ連と同じ社会主義国でした。社会主義国は、計画経済で、国の方針によって生産などがおこなわれます。中国は、20世紀後半から社会主義と資本主義を合わせたような政策を行いました。それは、深センなど4つの都市だけで試験的に始められました。台湾がモデルだったそうです。これは、海外の企業も進出して自由に経済活動ができるが、言論の自由はなく、中国共産党などを批判するようなことは許されないというようなものでした。

中国はかつて、皆が平等に貧しいという共産主義でした。これを豊かにするとき、一度に皆が豊かになるのは困難なので、豊かになれる人からでよいとする「先富主義」という方針をとりました。これにより、貧富の格差が正当化されました。

国土が国家のものという決まりは変わりませんが、農民は農地を請け負うということになり、一定分を国に収めれば、余った分は自分たちの好きにして良く、市場で売ってもよいことになったのです。すると農業の生産性が向上して、食糧難が解決されたそうです。

従来は、経済発展すれば、民主化が進展すると一般的に考えられていました。韓国もそのようにして現在は民主的な選挙により大統領が選出されています。けれども中国は、天安門事件の際、集まってきた学生らを戦車などの軍隊の力で抑えた後20数年経ちますが、いまだに共産党一党支配体制が揺らぐことなく続いています。

中国人の若者の反日感情が強い理由

中国は天安門事件を反省し、愛国教育として、中国共産党を正当化するための教育を徹底した。その際、中国共産党を引き立たせるために、日本を徹底的に批判した。その影響が中国人の若者の反日感情に作用している。このため中国は、日本との友好関係を深めたくても、若者の反日感情が強く反発が強いため、それに配慮せざるを得ず、深められないという状況にある。

中国での民意の捉え方

中国では、報道機関は共産党の指示に従った報道しか行えず、そのためにネット上のブログや交流サイトの書き込みなどでしか民意を知ることができない状況にあります。日本ではネット上の意見は、一部の人の意見であると認識した上で見ていますが、中国はそれを偏重するような状況になっているそうです。書き込みは3万人以上いるというサイバーポリスによる24時間体制の監視下に置かれていて、問題があるとみなされた書き込みは削除されてしまいますが、台湾などでコピーされ、いわゆるミラーサイトとして世界中に知れ渡る状況になっています。

中国は、共産党の悪口を言うまではOKで、それを民主化しようとか言うと罪となり捕らえられるという説もあるそうです。

一人っ子政策

中国はかつて、毛沢東時代に子をたくさん産むようにしていて、出生率、つまり1組の夫婦の間に生まれる子供の数の平均が5.8でした。

毛沢東死去後の鄧小平時代に、貧しさを改善するためには、子供を減らす必要があるとして一人っ子政策により1組の夫婦の間の子供の数は1人しか許されなくなりました。ただ、この制限がかけられたのは、中国の人口の大多数を占める漢民族に対してだけで、少数民族は複数の子供を持つことが許されていました。こういうこともあり、出生率は1.8になったそうです。

一人っ子は、甘やかされるということで小皇帝などと呼ばれるそうです。そのような一人っ子同士の結婚では、離婚率も高くなったり、人民解放軍に入っても厳しい訓練では親が批判するということで、軍として厳しい訓練の実施が困難になりました。また、少子高齢化が急速に進展し、数十年後には日本のようになると見込まれています。

このため、一人っ子同士が結婚したら、2人の子供を産んでもよいですよ、と人口の現状維持を行うような方向に変わってきたそうです。

中国の今後

中国は若者が減り、中国内だけでは成立し得ない状況になりつつあります。経済規模も今では世界二位で、海外に進出していく状況です。それが具体的にどうなるかは予想しづらいですが、過去のヨーロッパや、日本の歴史をみると、予想できてくるとのことでした。

中国も少子高齢化が急速に進展し、その次はインドと見られています。中国とインドは経済協力はしているものの1962年に中印戦争があったように、互いに警戒している仲です。

 

コメントを残す